台湾中で「歩行者優先」と叫ばれる中、北部・桃園市の中学生が手掛けた一枚の絵画作品が「歩行者差別だ」とネットユーザーから批判の声が上がるなど波紋を呼んでいる。
問題視とされているのは同市東興中学校の生徒が描いた「帝王条款」と題した作品。バスやトラック、自家用車、バイクなどさまざまな車両に囲まれ、クラクションを鳴らされているにも関わらず、リードを付けたカメを連れてゆっくりと横断歩道を渡る皇帝の姿が描かれている。
台湾の小学生から大学生までを対象とする今年の全国的な美術コンテストの漫画部門で特別優秀賞に選ばれている同作。学校側が生徒の受賞を祝いネットに投稿したところ、「歩行者の通行権を『帝王条款』に風刺するなんて。学校の教育に問題があるのではないか」などと非難された他、賞の撤回を求める人もいた。
学校側は生徒の作品について、歩行者と運転者とのトラブルを見て、メディアで見かけた見出しを使用し創作したと指摘。「双方が互いに尊重し合うべき」というのが生徒が同作を描いた動機だと説明した。
台湾の交通事情を巡っては、海外メディアから「歩行者地獄」と形容され、その汚名を返上しようと、政府が乗り出し、横断歩道点などで歩行者を優先しない行為に対する取り締まりを強化している。だが、歩行速度を意図的に落として車輌の通行の妨げとなる状況がときどき見受けられるのも事実のようだ。