中部・台中市の豊原駅前に、一軒の古い建物がある。正面に警察の紋章や赤いランプがあるため交番のように見えるが、実際にはパイナップルケーキなどを製造・販売する地元の菓子店「旺来八」が入居している。
建物は日本統治時代の1906(明治39)年に建てられ、「頂街警察官吏派出所」と呼ばれた。第二次世界大戦の終戦後も派出所として使われ続けた。2002年には当時の台中県政府が、珍しい2階建ての派出所で時代の特徴を備え、保存価値があるとして、県の歴史建築に登録した。
12年には派出所が新庁舎に移転することとなり、市文化資産処が建物を利用する民間事業者を公募。旺来八の入居が決まった。
台湾語で「パイナップル」と「福が来る」を意味する言葉の発音が似ていることから、パイナップルは縁起の良い果物とされる一方、警察にとっては大量の事件が舞い込んで忙しくなるため敬遠されるとの言われがある。「派出所」の中でパイナップルケーキを販売するという、台湾の人々にとっては対照的な取り組みが、ユニークな特徴となっている。
旺来八の担当者は、古い派出所が今では土産物やアイスクリームの販売、さらには2階で行う漆器工芸の展示を備えた、アート文化スペースに変身を遂げたと説明。町歩きイベントの開催を通じ、地場産業のPRも行っていると話した。


