(台北中央社)台北市の太平国民小学(小学校)内に16日、「太平国小博物館」が開館した。日本統治時代に同小の前身、大稲埕公学校を卒業した彫刻家、黄土水(1895~1930年)の胸像「ひさ子さん」などを展示し、児童や市民に紹介する。
台北で生まれた黄は1915(大正4)年、台湾出身者として初めて東京美術学校(現東京芸術大)に入学。「ひさ子さん」は同校の卒業制作として作られ、黄が20(同9)年、公学校に寄贈した。作品は校内に眠っていたが、2020年に市内の美術館で展示され、約100年ぶりに日の目を見た。
この日行われた開館式で、博物館設置・運営プロジェクトのキュレーターを務める林曼麗さんは、黄が作品を母校に寄贈したのは、子どもたちに小さな頃から芸術の精神を学んでもらいたかったからだろうと言及。その思いに応えるために同小での保存が決まったが、専門性や公共性、教育性、持続可能な運営など多くの課題があったと語った。
プロジェクトは同小の卒業生で王道銀行教育基金会董事長(会長)の駱錦明さんが賛同を呼びかけ、多くの同窓生の支援を得て実現した。駱氏は、同小児童の中には「ひさ子さん」に「おはよう」や「さようなら」を言う子どもも出てくるかもしれないとし、このようなことが目に見えない芸術的素養を育み、感性を高めることにつながるだろうと期待を寄せた。
一般客の参観は予約制で、黄の生誕130年に当たる7月3日から。予約は公式サイトで今月17日から受け付ける。