(東京中央社)第37回東京国際映画祭の運営者は、今年の黒澤明賞の受賞者に台湾のフー・ティエンユー(傅天余)監督と三宅唱監督を選んだと発表した。フー監督は、受賞は「一つの確証のようなもの」だと喜びのコメントを寄せた。同賞の授賞式は11月5日に東京・帝国ホテルで開催予定。
同賞は世界の映画界に貢献した映画人や映画界の未来を託していきたい映画人に贈られる賞。2022年に14年ぶりに復活した。今年は山田洋次監督、キャスティングディレクターで演出家の奈良橋陽子氏、評論家の川本三郎氏、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三氏の4人が選考委員を務めた。フー監督は華語(中国語)映画の監督として4人目の同賞受賞者となる。台湾の映画人では過去にホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督も受賞している。
同映画祭はフー監督を「MV(ミュージックビデオ)監督としても活躍するなど多彩な才能をもつ俊英」だと紹介。選考委員からは「1980年代の台湾ニューシネマの伝統を現代に引き継ぐ監督」との見方が示され、今年日本で公開された「本日公休」は庶民の生活を温かい目線で描いたとしてその手法が高く評価された。これにより、受賞が決まったという。
フー監督は受賞コメントで、黒澤監督や山田監督の作品から「映画には人間の本質を描き出す力があること」を学んだとし、「映画は言葉や時間を超えて、人々に理解や癒やしを感じさせることができると信じている」と言及。その上で、同賞受賞は「私にとって一つの確証のようなものであり、この名前と共に素晴らしい映画製作の世界に身を置けることは夢のように光栄なこと」だと感謝を示した。
同映画祭は来月28日から11月6日まで開かれる。