(台北中央社)李登輝(りとうき)元総統を記念した音楽会が台北市の国家音楽庁で15日に開かれる。音楽会では李氏に敬意を表するために作曲された「第五号交響曲」が披露される。来年には東京での開催が予定されている。
記者会見が2日、台北市内で開かれた。音楽会は許遠東先生・夫人記念文教基金会や李登輝基金会、白鷺鷥文教基金会が主催。指揮者の準・メルクルさんが台湾フィルハーモニック(国家交響楽団)や台北愛楽合唱団を指揮する。
李登輝基金会の李安妮董事長(会長)は、李氏が2020年に亡くなった後、基金会は方向転換し、政治活動や政治資金パーティーは行わなくなったと言及。「われわれは毎年、テーマを掲げた音楽会で父への思いを示している」と話した。
「第五号交響曲」は作曲家の金希文さんが手がけ、完成までに14カ月を費やした。金さんは朝4時にピアノの前で音色を考えていると「李氏の声が聞こえてくるようだった」と明かした。作曲を引き受けた際にはプレッシャーもあったとしつつ、作曲に当たっては李氏の書籍を読んだり、講演の録音を数多く聞いたりしたと紹介。「李氏の台湾への関心は形式上だけでなく、強力な使命感を感じた」と語った。李安妮さんによれば、関係者は同楽曲を「李登輝交響曲」と呼んでいるという。
音楽会では「第五号交響曲」の他、バイオリニストの蘇顕達さんを迎え、ベートーベンの「バイオリン協奏曲」も演奏する。李氏は1957年、許遠東さん夫妻に結婚祝いとしてダビッド・オイストラフ録音のベートーベンのバイオリン協奏曲のレコードを贈っていたことから、演奏によって李氏と許さんの半世紀にわたる友情を示すとしている。