(台北中央社)中国側に取り込まれた台湾の元空軍少校(少佐)の男が、台湾が自主開発した超音速対艦ミサイル「雄風3」の情報を中国側に漏らしていた疑いがあることが12日、一部メディアの報道で明らかになった。国防部(国防省)は同日、一連の事態は内部通報によって発覚したと説明し、速やかに調査した上で対応措置を講じ、影響の軽減を図ったと明かした。
報道によれば、男は2008年に退役後、中国側に取り込まれ、諜報活動の支援をした他、台湾の軍事機密収集の窓口となった。21年には台湾の空軍関係者と接触し、「雄風3」の戦時運用や、台湾に嫌がらせを行う中国軍用機への対応に関する機密文書を提供するよう仕向けたとされる。
国防部によると、23年1月に男が米国のシンクタンク職員を名乗って現役軍人と接触し、情報を得ようとしているとの内部通報があったため、中華民国国家安全局に通報。憲兵指揮部と合同で調査を実施し、24年8月に台湾高等検察署(高等検察庁)に捜査を要請した。その後高等検察署台中分署が、国家安全法、国家機密保護法、貪汚治罪条例(腐敗防止法)違反などの罪で男を起訴したという。
国防部は、中国の台湾に対する浸透工作が続いているとした上で、諜報活動防止のため、国軍はセキュリティー教育を徹底して警戒心と愛国意識を高めるとともに、国家安全保障に関する機関と緊密に協力し、国家の安全保障と強靭(きょうじん)性を向上させる方針を示した。