東部・台東県海端郷の霧鹿集落でこのほど、タイワンツキノワグマに農家の飼いニワトリが食べられる被害があった。農家の監視カメラにその様子が捉えられ、通報を受けた農業部(農業省)林業・自然保育署(林業署)から損害賠償金や報償金が支給された。
同署台東分署が18日、報道資料で明らかにした。これによると、被害があったのは、標高900メートルのところにある農家の鶏舎。通電していない電気柵が破壊され、ニワトリが計9羽食べられた。同分署が職員を派遣したところ、タイワンツキノワグマの仕業であることは間違いないと確認した。
同分署は、海端郷などの中高標高地域はもともとタイワンツキノワグマの生息地だが、この頃、標高の低い山間部または平地にやってくる記録が顕著に増えていると説明。クマとの遭遇を避けようと同郷などは2020年にクマ発見時の通報プラットフォームを設置し、情報共有の強化に取り組んできた。
タイワンツキノワグマは台湾に生息する唯一のクマで絶滅危惧種に指定されている。同分署は22年から、タイワンツキノワグマ生態系サービス給付計画を実施。絶滅の危機にひんしている野生動物やその生息地の保護に協力した人々に報償金を支給している。