(南投中央社)中部・南投県の玉山(3952メートル)で23日、約380メートル滑落して死亡したとみられる登山者2人の遺体が回収された。台湾ではこのところ、雪や地面の凍結、低温が原因とみられる高山での事故が相次いでおり、内政部(内務省)国家公園署が登山時期の変更などを呼びかけている。
玉山で死亡した2人を巡っては、22日午前、2人の友人だという登山者から通報が入った。この登山者は2人とは異なるルートで登山し、復路を歩いていたところ、玉山主峰と玉山北峰の分岐点周辺で2人のつえや帽子、血痕があるのを発見。連絡が取れなかったため、谷に滑落したと疑って消防に連絡した。
南投県消防局は同日、救助隊4人を派遣。玉山国家公園管理処のスタッフや内政部空中勤務総隊のヘリコプターも捜索に加わり、午後4時ごろに2人を発見したが、地形や気象条件からヘリコプターでの救助は断念した。
23日には雪山専門のスタッフも加わって捜索を再開。隊員が登山者の痕跡を頼りに谷を下り、作業開始から約4時間後に、すでに息をしていない2人を発見した。体の一部は雪に覆われていたという。遺体はその後、平坦な場所に移動されてからヘリコプターで搬送された。
▽高山での救助相次ぐ 管理機関が警告
東部・花蓮県の奇莱北峰(3607メートル)では20日に遭難した16人がヘリで救助され、21日には同じ登山パーティーの1人が山中で雪に埋もれて死亡しているのが見つかった。南投県と花蓮県にまたがる縦走ルート「南三段」でも21日、降雪により登山の継続が困難となった24人が救助された。
これを受け内政部国家公園署は23日、注意を促す文書を発表。高山では溶けた雪が凍り固まり、滑りやすくなっていることから、アイゼンやピッケルがあっても危険な状態だとし、まだ入山していない人には登山時期を改めるよう推奨するとした。
また同署は3月末までは雪山シーズンとして公示しているとした上で、国家公園への入園許可がない場合や、規定に沿った雪山の装備を携帯せずに入山して社会資源を浪費した場合は、国家公園法違反として罰せられる他、最大3年間の入園禁止処分となることがあると警告した。