(台北中央社)タクシー運転手に報復行為を行うよう知人を唆したなどとして、台湾新北地方検察署(地検)は4日、俳優のダレン・ワン容疑者と知人の男の身柄を拘束し、取り調べを行った。ワン容疑者は5日、保釈金500万台湾元(約2283万円)を納付し、保釈された。
ワン容疑者は先月中旬、兵役逃れの疑いで新北地検の捜査を受けており、地検はその際、押収したワン容疑者の携帯電話に知人を唆して相手を殴らせたとみられる会話記録と関連の動画が残されているのを発見した。消息筋によれば、ワン容疑者は昨年、台北市内で配車アプリ「ウーバー」を通じてタクシーを利用した際に、運転手が遠回りしたとして運転手と口論になった。下車後に鍵を車内に置き忘れたことに気付き、車のドアが開かないために窓をたたいたところ、運転手がこれに憤慨し、再び口論が発生したという。
ワン容疑者は車のナンバープレートを記録し、知人の男に不満を伝えた。知人の男は車を探すよう別の人に依頼し、北部・新北市中和区で車の足取りを発見。車を止めさせて運転手を殴り、その光景を撮影して報告したという。
地検は4日、ワン容疑者と男を地検に連行して取り調べを行い、2人に逃亡や口裏合わせ、証拠隠滅の恐れがあるとして台湾新北地方法院(地裁)に勾留と接見禁止を請求した。5日午前2時に地裁で勾留を巡る審理が開かれ、男の勾留が決定した。ワン容疑者については文書偽造や傷害教唆、個人情報保護法違反などの罪の疑いで犯罪の嫌疑が大きいとされたが、共犯の男の勾留が決まったため口裏合わせや証拠隠滅のリスクが下がったなどとして、同6時ごろ、保釈金500万元での保釈が決まった。ワン容疑者には出国や住居の制限が科された。
ワン容疑者は同日正午ごろ、地裁の入り口に姿を見せた。詰め掛けた大勢の報道陣の問いかけには答えず、「ありがとう」とだけ述べた。
新北地検は抗告するか検討するとの方針を示した。