(台北中央社)台北市の歴史建築に登録されている老舗のレストラン兼ベーカリー「明星咖啡館」が設備老朽化のため、修復されることになった。市文化局によると、工期は1~2年を予定。経営者は、工事完了後には芸術作品の展示や文化普及、地域サポートなどの機能を持たせ、歴史建築としての力を発揮させたいとしている。
ロシア風の料理などを提供する同店は台北の旧市街に軒を構える。1949年に開業し、多くの高官や権力者が訪れたほか、文化・芸術界の著名人らがこの場所で創作活動に励み、文化サロンの役割も担った。一時は閉業していたものの、2004年に営業を再開し、2代目の簡静恵さんが経営を引き継いだ。2012年には市の歴史建築に登録された。同店で販売されるスイーツ「俄羅斯軟糖」(ロシアンマシュマロ)は、2020年公開の台湾映画「弱くて強い女たち」(孤味)で、台北で暮らす父親が南部・台南にいる娘と会う際に毎回買ってきた思い出の品としても登場した。
簡さんによれば、水道管や電線、屋上の構造部などは設置から73年が経過しており、特に雨漏りが深刻になっているという。全面的に改修の必要があることから、昨年、市文化局に修復・再利用計画を提出し、承認された。
市文化局によれば、工事には概算で約1380万台湾元(約6300万円)がかかる。現在承認している市の補助金の上限は126万元(約570万円)だが、経営者側からの要望があれば、増額の見込みもあるという。