(台北中央社)行政院院会(閣議)は27日、防衛の強靭(きょうじん)性や非対称戦力の強化を目的とした1兆2500億台湾元(約6兆2500億円)の特別予算案を決定した。卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は国民や各政党に支持を求めた一方で、立法院(国会)で最多の議席数を持つ野党の国民党は反発している。
特別予算は頼清徳(らいせいとく)総統が26日に発表した。国防部(国防省)の報道資料によれば予算は2033年まで8年間かけて執行する予定。①多層的な防衛システムを構築し「台湾の盾」(Tドーム)を打ち立てる②テクノロジーや人工知能(AI)を導入しキルチェーンを加速する③防衛産業を育て、非レッドサプライチェーン(中国に依存しない供給網)をつくる─の三つの特色があるとしている。
卓氏は行政院院会後の記者会見で、頼総統が前日に予算について発表して以降さまざまな意見が出ているとした上で、「国があってこその家、国があってこその政党だ」との考えを国民や各党に訴えたいと説明。今は与野党の垣根を超えて、国や家、そして人々のことを大事にするべきだと話した。
また、中国による威嚇の形態と頻度が増えている今、政府は防衛能力を高め、理念が近いパートナーが台湾と連帯できるようにするべきだと言及。第1列島線の最も敏感な位置にある台湾が、自らの防衛能力を高めないわけにはいかないと強調した。
国民党は、立法院党団(国会議員団)の羅智強(らちきょう)書記長らが立法院内で会見を開き「頼総統は台湾を第二のウクライナにするのか」と批判。高額な国防予算で台湾の人々をまひさせていることこそが問題の核心だと主張した。