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頼総統、「Tドーム」防空システムの構築に意欲 国慶日演説/台湾

2025/10/10 12:50
国慶日演説で「Tドーム」防空システムの構築に意欲を示す頼清徳総統=10月10日、台北市
国慶日演説で「Tドーム」防空システムの構築に意欲を示す頼清徳総統=10月10日、台北市

(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は10日、台北市の総統府前で行われた中華民国国慶日(国家の日)の祝賀式典で演説し、投資の拡大や諸外国との経済貿易協力の深化、台湾を守る産業クラスターの構築の他、防衛費を増額し、厳密な防空システム「Tドーム」(台湾之盾)の早急な開発に取り組む方針を示した。

頼総統は、アジア開発銀行が予測した今年の台湾の経済成長率が当初の3.3%から5.1%に上方修正されたことに触れ、「目覚ましい経済成長は台湾の半導体産業や情報通信技術(ICT)、電子部品といった関連産業のリードによって実現した輝かしい記録だ」と強調。また「総統としての自らの使命は、これらの貴重な財産を守り、台湾ないしは世界の産業や経済発展のために役立て、台湾と世界の人々の生活をより良くすることだ」と語った。

その上で、従来型産業、中小零細企業、給与所得世帯、農漁業従事者を全面的に支援することは「責任」だと説明。投資誘致強化による雇用の創出▽より多くの友好国や同盟国との経済貿易協力協定締結による経済発展▽量子技術、シリコンフォトニクス、ロボットといった基幹技術研究開発への積極投資を通じた、世界の技術開発における主導的な地位維持に向けた支援―などに取り組むとした。バイオ医薬産業についても、「台湾を守るもう一つの産業クラスターに育てる」とした。

中国については、大国としての責任を果たし、1971年に採択され、国連での中国の代表権を認めた「アルバニア決議」や第2次世界大戦に関する歴史文書の歪曲を停止し、武力や威圧による台湾海峡の現状変更を断念し、共にインド太平洋地域の平和と安定を守るよう訴えた。

また「第2次世界大戦の結果は『侵略は必ず失敗し、団結は勝利する』ということを私たちに教えてくれた」、「平和は実力によって実現されなければならない」と主張。年内に防衛費に関する特別予算案を提出するとし、2030年までに国内総生産(GDP)比5%に引き上げることで国家を守る決意を示すと述べた。

「Tドーム」は多層防御、高度な警戒態勢、効果的な迎撃能力を備えるとし、台湾の人々の生命と財産を守るための防護網にする他、ハイテクと人工知能(AI)技術の導入と統合を強化してインテリジェントな防衛・作戦システムを構築し、非対称戦略の抑止効果を高めるとした。また国防に関するイノベーションへの投資を継続し、先進国の軍需産業と連携することで国防と軍需産業の力を強化すると語った。

さらに、社会全体の防衛力の強靭化(きょうじんか)にはあらゆる努力が必要だと強調。東部・花蓮県で先月起きた洪水被害で、多くのボランティアが被災地へ支援に訪れたことなどに言及し、台湾の人々が危機に直面しても、並外れた大きな強靭性を示し、自分たちの国を守るという決意を持つことを証明したと述べた。

最後に、これからも国家を率い、心を一つにして団結するとし、困難を恐れることなく、より良い明日に向かって勇気を持って前進すると意欲を示した。

(編集:齊藤啓介)

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