(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は26日午前、台北市の総統府で記者会見を開き、防衛への追加投資などを盛り込んだ「民主主義台湾を守る安全保障アクションプラン」を発表した。北京当局が「民主主義台湾」を「中国台湾」に変えようとする行動を全面的に進めており、わが国の安全や台湾の自由と民主主義に対する重大な脅威となっているとした。
頼総統は、かつてない厳しい情勢に対応するために二つのアクションプランを策定したと説明。一つ目は「国家の主権を固く守り、民主主義の防衛メカニズムを全面的に構築する」だとし、中華民国の主権や台湾人の自由を奪おうとする中国の覇権的な行動に対して反撃するための常設プロジェクトチームを設けるなどの具体的な行動を挙げた。
これまでのあらゆる世論調査で、中国が掲げる「一国二制度」に国民は圧倒的に反対していることが示されているとし、政策の提示や立法院(国会)での決議、政党と民間団体の集団的な行動を通じて「一国二制度は台湾社会にとって触れてはならないレッドラインである」ことを共同で確立すると述べた。
アクションプランの二つ目は「国防戦力を強化し、あらゆる面で国防関連産業を育てる」ことの推進だとした。①2027年までに国軍の統合作戦部隊の高度な戦備能力を打ち立て、中国の脅威を効果的に抑止する②33年までにより高度な強靭(きょうじん)性や全面的な抑止力を持つ防衛戦力を備える③最終的には「民主主義台湾」を永久に守れる防衛戦力を構築する─の3段階の目標を達成すると語った。
具体的には、来年度の防衛費が国内総生産(GDP)比3%を超え、30年までには同5%に到達すると言及。また国防部(国防省)が「防衛強靱性・非対称戦力強化計画の調達特別条例」と予算の計画を完了しているとし、33年までの8年間で1兆2500億台湾元(約6兆2千億円)を投入する予定だと話した。
防衛予算の増加は戦力や国家の安全を高めるだけでなく、防衛産業の発展を後押しし、国民所得を増やす重要な道でもあると述べた。
また、最大の脅威は武力でなく諦めだと呼びかけた上で、侵略に妥協しても、最後に得られるのは終わりない戦禍と奴隷的な扱いであることは歴史が証明していると強調。民主主義国家として与野党にそれぞれの立場があるだろうとしつつも、団結の必要性を訴えた。
(編集:田中宏樹)