(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は26日、台北市の総統府で記者会見を開き、2033年までの8年間に1兆2500億台湾元(約6兆2300億円)の追加防衛費を投入する方針を示した。顧立雄(こりつゆう)国防部長(国防相)はこれについて、空中での多層的な迎撃ネットワーク、指揮管制と意思決定支援、多層的な火力支援の効率化、長距離精密打撃、作戦持久力、軍備生産力、国防による経済効果の強化を柱とする七大目標を掲げ、重要な戦力の増強を図ると説明した。
顧部長は、中国の嫌がらせは日増しに多様化していると指摘。台湾辺境の安全を脅かし、インフラや軍事システムのまひ、対外通信の弱体化、軍備の消耗、主権侵害による小規模衝突の誘発などを通じ、国際航行やエネルギーの安定供給、食料の安全保障などに脅威を与えようとしているとした。
また中国は昨年以来、台湾を包囲するように軍事演習を実施し、訓練から演習、演習から実戦への移行リスクを高め、台湾が警戒体制を敷く時間的余裕を削るように脅威の形態を変えていると主張。軍事拡張はすでに伊豆諸島や米領グアムをつなぐ「第2列島線」まで広がり、国際社会の既存ルールにも挑戦しており、インド太平洋地域の民主主義国家に警戒心を高めさせていると述べた。
その上で、台湾は第1列島線の中枢として高まる中国の脅威に向き合い、迅速に戦力を統合し、実際の防衛作戦に必要な武器や装備を調達する必要があると強調。政府予算で国軍の非対称戦力を整備する他、22~26年の特別予算や26~33年の防衛強靱(きょうじん)性・非対称戦力強化計画のための特別予算で多領域拒否作戦を強化し、多層的な防衛作戦システムを構築するとした。
33年までの特別予算では、資源の安定確保を図り、高性能火砲や遠距離精密迎撃ミサイル、対空・対戦車ミサイル、無人機と対抗システム、作戦持久力を強化する装備、人工知能(AI)支援など必要とする戦力の調達を加速させると説明した。
顧部長は、台湾は第1列島線と民主主義世界の最前線に位置し、覇権主義の挑戦に立ち向かっていると述べ、パートナーと各分野での連携を強化する意欲があるとした。国防部(国防省)も真摯な態度で特別予算の編成と執行に取り組むとし、国会の監督下でふるさとを守ると語った。