(台北中央社)公職者のリコール(解職請求)署名に関する規定を厳しくする内容を盛り込んだ改正公職人員選挙罷免法(罷免法)が総統による公布を経て20日に施行された。与党・民進党の立法院党団(国会議員団)は同日、違憲の恐れがあるとして、同改正法の一時停止処分や違憲審査を憲法法廷に申し立てたと発表した。同党団トップの柯建銘(かけんめい)氏は、憲政体制の秩序を守らなければならないと語った。
罷免法の改正案は、昨年12月20日、立法院(国会)で多数を占める野党・国民党と民衆党の立法委員(国会議員)の賛成多数で可決された。行政院(内閣)は先月、再議(審議のやり直し)を申し立てたが、今月11日に野党の反対多数で否決された。
柯氏はこの日午前の記者会見で、昨年6月に施行された国会職権関連法の改正時には、立法院の委員会や院会(国会本会議)などでの協議が行われなかったことに触れ、手続きは正義に基づいていなかったなどと主張。同10月には憲法法廷が同改正法の一部条文を違憲だと判断して失効したことから、同改正法が違憲であるなら、改正罷免法が違憲でない理由はないと語った。
また申し立て後に応じた取材には、人民には罷免の権利があると定めた憲法第17条や「人民のその他の自由および権利は社会秩序および公共の利益を妨げない限り、等しく憲法の保障を受ける」とした憲法第22条などに基づき、同改正法が違憲になるとの認識を説明。いかなる人や政党も憲法と対立することはできないと語った。
一方、国民党党団の羅智強(らちきょう)首席副書記長は、違憲審査などの職務を担う司法院大法官が現在8人しかおらず、審査に必要な10人を満たしていないと指摘。昨年12月24日には人事同意権案の投票で候補者7人全員が否決されているものの、その後新たな動きが見られていないとして、民進党や頼清徳(らいせいとく)総統は大法官の不足の現状を解決するつもりはあるのかと疑問を呈した。