(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は14日、総統府で国家安全ハイレベル会議を開き、会議終了後に談話を発表した。国家の安全保障において優先的に推進する項目の一つとして、防衛予算を国内総生産(GDP)比で3%以上に引き上げる目標の達成を目指す考えを示した。
頼氏は、国家の安全や世界のサプライチェーン(供給網)における台湾の不可欠性をいかにして確保し、いかにして挑戦の中で国家を発展させていくかが国家にとって最も重要な課題であり、国家安全ハイレベル会議を開いた理由でもあると説明。国民の自由や民主主義、人権、国家の発展を確保し、権威主義集団の各種の脅威に立ち向かうため、台湾は国家の主権を守り、自己防衛の決意を強化する必要があると訴えた。
そのために優先的に推進する項目として(1)特別予算を優先的に計上し、防衛予算をGDP比3%にする目標を達成する(2)中国の統一戦線や浸透、認知戦による国家の安全への危害を防ぐため、国家安全法制改革を引き続き推進し、国家安全網の構築を拡大する(3)世界のサプライチェーンの再構築と経済秩序の再建の機会をつかむため、「台湾で足場を固め、世界に展開する」とした経済貿易戦略を引き続き推進し、ハイテク産業の保護を強化し、友好国と協力して世界の民主主義サプライチェーンを構築する—の3点を挙げた。
昨年8月に行政院院会(閣議)で決定された今年度の中央政府予算案で、GDPに占める防衛費の割合は約2.45%だった。
米国との関係については、行政院(内閣)が貿易協力の機会を全面的に洗い直すとし、今後は双方の緊密な連携によって対米投資や調達を拡大させ、2者間貿易の均衡を促進すると述べた。また、AI(人工知能)や先端半導体などの技術開発や製造における協力も強化させる方針を示した。
また、台湾の半導体産業に対するトランプ米大統領の関心に対し、政府として慎重に対応し、米国との意思疎通を強化し、相互理解を増進させていくとした。「世界半導体民主主義サプライチェーンイニシアチブ」を今後発表し、米国などの民主主義パートナーと共にさらに強靭(きょうじん)で多元的な半導体サプライチェーンの構築を目指したい考えも表明した。
両岸(台湾と中国)関係に関しては「対等、尊厳」の原則を固く守って両岸間の健康的で秩序ある交流を推進し、対抗の代わりに対話をすることで両岸の人々の福祉を共に増進させるという約束は変わらないと強調した。
(編集:名切千絵)