(台北、基隆中央社)立法院(国会)で多数派の野党によって法案や予算案の強行採決が相次いだのを受け、議会第1党で最大野党・国民党所属の立法委員(国会議員)の解職を目指す動きが始まっている。春節(旧正月)連休明けの3日、中央選挙委員会は、同日中に同党立法委員19人に対するリコール(解職請求)提議書を受け取ったと発表した。
立法院は昨年1月の立法委員選(定数113)で与党・民進党(51議席)が第2党に転落。一方、国民党は52議席に伸ばして第1党となり、第3党・民衆党(8議席)や無所属(2議席)と手を組むことで数の力を握っている。立法院で「ねじれ」が生じる中、昨年5月や同12月には野党が主導する改正法案の審議を巡って大規模な抗議集会も開かれた。先月可決された今年度の中央政府予算案は行政院院会(閣議)の提案より約2075億台湾元(約9800億円)削減され、行政院(内閣)は再議(審議のやり直し)請求を検討する方針を示している。SNS上には国民党に対する批判の声も噴出した。
提議書が出されたのは北部・台北市や新北市、桃園市、新竹市、中部・南投県、台中市、雲林県、東部・台東県、花蓮県の各県市選出の同党立法委員。これに加え、汚職事件による一審有罪判決で昨年7月に停職処分が下された高虹安新竹市長に対するリコール提議書も届けられた。
中央選挙委は今月28日までに提議書に対する審査を完了させるとしている。
▽国民党・朱立倫主席、民進党を批判「政治的利益を得ようとしている」
国民党の朱立倫(しゅりつりん)党主席(党首)は4日、北部・基隆市の同党基隆市支部での新年行事に出席した。昨年10月に同党の謝国樑(しゃこくりょう)基隆市長に対するリコール投票が実施されたことや今回のリコールの対象に同党の基隆選出立法委員が含まれていることに言及し、「民進党は当主として政権運営をしているのではなく、当主が騒ぎを起こすことで政治的利益を得ようとしている」と批判した。