(台北中央社)今年度の中央政府予算案が野党主導で大幅に削減、凍結されたのを受け、各部会(省庁)のトップが23日、予算削減による影響を説明した。李遠(りえん)文化部長(文化相)は、台湾在住の日本人作家、栖来ひかりさんが文化部(文化省)の予算削減を受け、「大切にしてきた卵が眼の前でぐしゃりと握りつぶされるような、そんな気持ち」だとX(旧ツイッター)でつづったことに触れ、「私にとってそれ(台湾文化)は卵というだけではない。胚だ」とし、「台湾文化の主体的な文化が徐々に成功しようとしている大切な時期に毒牙にかかった」と悲痛な思いを述べた。
行政院(内閣)が記者会見を開き、行政院院会(閣議)での各部長(大臣)の発言をビデオで紹介した。今年度予算案は21日に立法院(国会)で可決され、昨年8月に院会が提出した案より約2076億台湾元(約9912億円)削減された。これは閣議決定された予算案の6.6%に相当する。
李氏は、メディア宣伝費の削減によって、4月に開幕する大阪・関西万博の全ての対外的宣伝が中断されたと説明。海外向けの情報発信を進めている通信社の中央社や公共放送の公共テレビ(公視)、ニュースや文化関連動画を英語で配信する国際向けプラットフォーム「TaiwanPlus」などの予算も大幅に削減され、運営がほぼ立ち行かない状態になっているなどと訴えた。
また、予算は削減してはならないわけではないものの、「削減の理由がとても屈辱的なものだと感じた」と野党を批判。文化は全世界に発信しなければならないものだとし、野党が文化の発展を押さえ付けたことは「非常に深刻」だと述べた。
卓栄泰(たくえいたい)行政院長(首相)は、今年度の予算削減率は直近3年の平均に比べ6倍に達していると指摘。立法院は削減した数字についてきちんと把握していないようだとし、予算案が行政院に送られた後で、再議(審議のやり直し)の申し立てについて検討する考えを示した。
国民党は22日、記者会見を開き、予算案の大幅削減について説明した。黄心華新北市議は、削減した第一の項目は首長特別費だとし、人々の福利には関係しないと強調。国家の財政は非常にゆとりがあり、過徴収が年々続いているとし、野党が監督や予算審査を強化しなければ、人々が納めた税金を政府に無駄遣いさせることになると主張した。