中部・南投県埔里鎮でこのほど、飼い主による牛の虐待事件があった。畑を耕す黄牛で体の複数カ所に傷があり、その後、南部・台南市政府が運営する牛の飼育施設「老牛的家」に収容された。同市によれば、牛はすでに徐々に回復し、新しい生活を過ごしているという。
牛は11月上旬、飼い主が運転する小型トラックによって引きずられ、首には絞められた痕の他、足のひづめもけがをした。牛を守ろうと、動物に友好的な民間団体が飼い主から牛を買い、南投県議や台南市議のあっせんによって、「老牛的家」に送られた。
南投から台南に運ばれたことから「南哞」(ナンモー)と名付けられた。「哞」は中国語で牛の鳴き声を示す擬声語。同市政府農業局によれば、南哞は約10歳の雄。施設に来たばかりのときは環境に慣れないことや足が怪我したことで歩こうとせず、食欲も落ちていた。
獣医師の治療や牛のひづめを整える専門家のケアを経て、南哞は次第に元気を取り戻した。南哞に関心を寄せている人たちも「老牛的家」を訪れ、南哞がのんびり歩いたり草を食べたりする自由自在な様子を見てホッとしたという。
「老牛的家」は設立から約16年経過。虐待や引退、迷子になった牛などを収容している。現在は水牛5頭、黄牛3頭が暮らしている。