約半年間のプレイオープンを経て東部・台東県に位置する文化施設「池上蒋勳書房」が22日、正式にオープンした。日本統治時代に建設された築90年近くの建物で「本の香りが漂う中で、一緒に自然と対話し、昔の家が語る物語を聞きに来てほしい」と運営側は来訪を呼びかけた。
池上郷にある福原小学校の初代校長、堀尾一彦の旧宿舎が前身で、1936(昭和11)年に建てられた。学校の新宿舎の竣工に伴い、廃屋となり、一度は所有権などの問題で取り壊しの危機にあった。後に地元に転居した芸術家によって修復され、さらに同県政府の協力により、昨年9月、「池上蒋勳書房」として生まれ変わった。
蒋勳氏は近年、台東を拠点に活動する作家で画家、詩人でもある。パリ大学で西洋美術を研究した。同施設について今後、週3回、一般開放する方針で、1回に受け入れる人数の上限を10人にするとした。
「建築学科の教師に学生を連れてここで授業してほしい。資源が乏しい1937年に戻って、照明が不十分でエアコンもなかった時代に、家の住人たちがどのように大自然と対話したかを体験してほしい」とも話した。