(東京中央社)2022年の統一地方選挙で、政治経験がないながらも、再選を目指した無所属候補を破って当選した、中部・苗栗県苑裡鎮の劉育育鎮長(無所属)が26日、東京大学で講演し、地域づくりや政治活動に取り組んできた自身の経験などについて語った。会場には、台湾の政治に関心を持つ多くの聴衆が詰めかけた。
劉鎮長は就任後、フェイスブックで1週間の出来事を振り返る投稿を続けており、今年4月にはその内容をまとめた書籍が台湾で出版された。講演会はこれを記念し、東京大学の阿古智子教授の研究室や在日台湾同郷会などが主催した。
大学在学中に社会問題に関わるようになり、ハンセン病療養所の保存運動に参加した他、13年には地元・苑裡の海岸に計画された風力発電設備設置の反対運動に取り組み、その後地方創生団体を立ち上げるなどの経歴を持つ。22年の選挙では投票を頼むのではなく、なぜ自身が出馬したのかの説明や有権者との対話の機会を積極的に設けて当選し、話題となった。
講演後に取材に応じた劉鎮長は、自身の経験を通じて若者の社会・政治参加を促していると強調。選挙に出馬して議員になるだけでなく、地方でNPO(非営利団体)やNGO(非政府組織)の活動に取り組むことでも公私連携による効果を実現できると強調。苑裡鎮の鎮民代表の場合、「朝食店やカフェ、書店などを経営しながら行政監視機能を持つ議員にもなれる」と話した。
また政治参加は従来の政治権力に挑戦することであるばかりか、継承や協力、協議や調整の機会でもあるとの認識を示し、若者が参加を望むだけで、地方には新たな可能性が生まれると語った。