(台北中央社)ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード(M)8.8の地震により、台湾の各沿岸部に津波注意報(海嘯警訊、台湾基準)が出されたのを受け、政府は30日、中央災害対策センターを開設した。津波対応で同センターが開設されたのは初めて。中央気象署(気象庁)は、東部・台東県の離島、蘭嶼で今回の津波で最大値となる12センチを観測したと発表した。また同注意報は午後5時10分に解除した。
▽東部や南部で津波観測
同センターは、国防部(国防省)や災害対応などに当たる内政部(内務省)の航空部隊、空中勤務総隊に対し、ヘリコプター23機と艦艇14隻の待機を要請した。また複数の県市も海巡署(海上保安庁に相当)などに対し、漁港や埠頭(ふとう)など港湾施設のパトロールや沿岸部での避難誘導などをするよう指示した。
中央気象署によると、台東県成功、南部・屏東県小琉球と東港でもそれぞれ7センチの津波を観測したという。
▽港では警戒も、目立った被害なし
高雄市政府海洋局によれば、海巡署が漁業関係者に対して津波に注意するよう求めるアナウンスを繰り返し流した。台南市政府も警戒区域を設定し、船舶の出港を禁じるなどした。
屏東県東港区漁会(漁協)の鄭鈺宸総幹事は取材に対し、予想到達時刻にも波の変化は大きくなかったと語った。
一方、東部の花蓮港では同日午前にクジラ観賞船が出港した。関係者は、波はいつも通りで異常はなかったと語った。また午後1時過ぎに陸に上がった行楽客も、波が大きいとは思わなかったと話した。
▽一部の航空便が欠航
日本では津波警報の発表で仙台空港が滑走路を閉鎖したため、エバー(長栄)航空とスターラックス(星宇)航空の台北(桃園)―仙台線とタイガーエア台湾(台湾虎航)の高雄―仙台線がそれぞれ欠航になった。