南部・台南市でこのほど夏鳥のツルクイナが確認された。台湾ではめったに見られない野鳥とのことで、自然保護団体はより多くの生息地を提供できるよう、農地と湿地の保全重視を呼びかけている。
鳴き声がドーンドーンドーンに聞こえるため、中国語では「董雞」(ドンジー)と呼ばれるツルクイナ。同市生態保育学会の邱仁武理事長は、主に池沼や水田に生息するが、農薬の使用や生息地の減少などにより、台湾では次第に見られなくなり、加えて臆病で警戒心が強いため、なかなか目撃されないと紹介した。
邱氏によれば、6月中旬ごろ、同市東山区でツルクイナの撮影が行われ、その際、ツルクイナの鳴き声を初めて耳にしたという野鳥写真家がいた。この人が数日後、市内の別のエリアでも似ている鳴き声に気づき、幻聴かと思いつつ、望遠鏡で探してみたところ、近くの水田に雄と雌の成鳥1羽ずつと雄の若鳥1羽がいるのを発見した。
3羽が家族かどうかは分からないが、邱氏はみんなが農地と湿地の環境保全を重視し優れた生息地を提供できれば、ツルクイナの繁殖につながるかもしれないと期待を寄せている。