写真は強い毒を持つヘビ「タイワンハブ」。このごろ台北市立動物園でよく見受けられるが、園内ヘビ舎の住民ではない。同園に侵入し展示動物を襲い、年平均3件以上の咬傷(こうしょう)事故を起こす招かれざる客だ。
園側によれば、ヘビ類の活動が活発になる夏季に入ると、不法侵入するヘビ類が増える。中でもタイワンハブの数が圧倒的に多く、統計が始まる2004年から現在まで、タイワンハブによる被害が58件に達する。
最も被害を受けたのは「好奇心旺盛で噛まれたことをすぐ忘れてしまう」とされるブラウンキツネザル。2年連続で4匹が噛まれるほどで、同じ個体が2回噛まれたこともあるという。
ヘビからブラウンキツネザルを守ろうと、同園は2020年から職員によるパトロール隊を発足。2週間に1回、夕方頃に各動物舎や倉庫、厨房などを回ることにしている。それ以来、タイワンハブが出没する確率が顕著に低下しブラウンキツネザルが噛まれる回数も年平均1回未満となったとか。
ヘビはネズミ類の天敵で食物連鎖における重要な一環だ。生態系におけるその「任務」を全うできるよう、同園は捕獲されたヘビの全長や重さなどの記録を終えてから非公開エリアに返すことにしている。