(ワシントン中央社)トランプ米大統領が台湾製半導体に高関税を課す方針を表明している問題で、第1次トランプ政権で国家安全保障担当の大統領補佐官を務めたジョン・ボルトン氏は13日、中央社の取材に対し、関税のようなねじ曲がった手段を使えば状況はより悪くなるだけだとの認識を示した。
米ワシントンに拠点を置くシンクタンク、情報技術イノベーション財団(ITIF)によると、米国製半導体の2020年の世界シェアは、1990年と比べて7割減少している。トランプ氏は13日、記者団に対し「台湾が米国から半導体産業を奪った」と主張。1月末には台湾製半導体に最高100%の関税を課す考えを示しており、関連産業の米国回帰を目指す姿勢が鮮明になった。
ボルトン氏は、台湾の半導体受託製造世界大手、台湾積体電路製造(TSMC)製半導体の品質は極めて高いとした上で、新たに市場に参入した企業が短期間で追いつくことは難しく、投資規模も莫大になると指摘。トランプ氏が主張する手段で効果が表れるか懐疑的な見方を示した。
またトランプ氏の発言について「事実ではない」と反発。米国の半導体産業がなぜ現在の状況に至ったのか本当に理解できていないことを示していると批判した。
台湾が半導体を巡る「関税戦争」を回避できるかについては、関税の引き上げは、コストの上昇、商品価格のさらなる高騰、販売量への影響などを招き、企業の利益をむしばむことを米国側の顧客に理解させる必要があると強調。米国内には関税引き上げによるコストの増大を望まない層もいるとし、連邦議会議員らへの働きかけを通じてホワイトハウスに影響を与え、追加関税の計画を撤回させる可能性があると述べた。