(台北中央社)台湾の舞踏家フー・チャー(胡嘉)さんが20、21日に京都で開かれる日台芸術文化交流イベントに出演し、新作「奔」を披露する。同作でフーさんは黒いシーツに身を包み、パフォーマンスを行う。中央社の取材に応じたフーさんは同作について、台湾の国際的位置付けとアイデンティティーを暗に反映するものだと説明し、舞踏芸術を通じて台湾の強靱(きょうじん)性と未来の希望を表現したいと語った。
フーさんが出演するイベント「京都台北 舞踏旅情」は日台間の舞踏交流と連携を促進する架け橋を築くことを目的に、札幌のコンテンポラリーダンススタジオ「コンテ」でプロデューサーを務める森嶋拓さんが発起。京都からは舞踏家の今貂子さんの他、今さん主宰の舞踏カンパニー「倚羅座」メンバーの村上璃子さんと木原由実さん、特別ゲストとして尺八奏者の上村風穴さんが出演する。
新作を完成させるため、フーさんは上村さんと数カ月間にわたってリモート会議を行い、振り付けや音楽を練ってきた。「大変だったけれど、予想以上に良い効果が生まれた」とフーさん。日本の芸術家にコラボレーションを受けてもらうためには相手を説得させられるだけの理由が必要だとしつつ、禅の精神で対話をすることで双方は素早く互いの意図を汲み取ることができたと振り返り、日本と台湾の舞踏交流の可能性も感じたと話した。
白塗りの肌と裸体で歪曲や叫び、苦痛感を表現する日本発の前衛芸術である舞踏(Butoh)は、「暗黒舞踏」とも呼ばれる。フーさんは台湾で国際暗黒舞踏フェスティバルを開催するなどし、「奇妙な踊り」と思われがちな暗黒舞踏のイメージ払拭に励んできた。白塗りの顔と体で舞うフーさん。「私の体は観客から見れば鏡のよう。私のパフォーマンスを通じて自分を投影し、それから自分を見つめ直してほしい」と願った。
フーさんによれば、「京都台北 舞踏旅情」は来年は台北で開催予定。日本と台湾の芸術文化交流を引き続き推進できるよう期待を寄せた。