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中国、台湾製化学製品12品目への関税優遇停止を発表 行政院「典型的な経済的威圧」

2023/12/21 16:50
イメージ(Pixabayから)
イメージ(Pixabayから)

(台北中央社)中国政府は21日、台湾で生産された一部石油化学製品について、海峡両岸経済協力枠組み取り決め(ECFA)に基づく関税優遇措置の適用を来年1月1日から停止すると発表した。行政院(内閣)は同日、「典型的な経済的威圧」だとして中国を批判した。

中国商務省は15日、貿易障壁調査の結果を公表し、台湾の対中輸入制限措置が「貿易障壁」に該当すると認定したと発表した。続いて中国国務院関税税則委員会は21日、台湾製のプロピレンやパラキシレンなど12品目を対象に関税優遇措置を停止すると発表した。

行政院貿易交渉オフィス(経貿談判弁公室)の楊珍妮(ようちんじ)副交渉代表は行政院院会(閣議)後の記者会見で、中国のやり方は国際規範に合致せず、一方的にこのような措置を発表するのは貿易の手段で政治的目的を達成するのが狙いだと主張。中国に誠意がありさえすれば、台湾は世界貿易機関(WTO)の枠組み下で協議する用意があると述べた。

記者会見に出席した国家発展委員会の龔明鑫(きょうめいきん)主任委員(閣僚)は、中国の今回の措置による台湾全体の経済への影響は限定的だと説明。理由として、台湾全体の輸出に占めるECFA利用の割合は4%に満たず、このうち対象となった12品目の割合はさらに低いことを挙げた。

▽ 総統選を前にした「政治的操作」=専門家 国民党の総統候補は民進党政権を批判

台湾は次期総統選の投開票を来年1月13日に控えている。致理科技大学国際貿易学科(新北市)の張弘遠副教授(准教授)は中央社の取材に対し、中国が経済的威圧の手段で産業界などの有権者に影響を与えている他、対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)が「一つの中国」を巡る「92年コンセンサス」を基礎とした上で交渉可能だと強調したことに触れ、今回の措置が政治的操作であることを浮き彫りにしていると分析した。

最大野党・国民党の総統候補、侯友宜(こうゆうぎ)新北市長は21日の両岸(台湾と中国)政見記者会見で、中国の措置は両岸の善意の交流には無益であり、台湾の人々の感情を著しく傷つけていると非難。ECFAの紛争解決の枠組みの下で早急に交渉を進めるべきだと主張すると同時に、民進党政権は中国が貿易障壁調査の開始を4月に発表してからの8カ月の間に解決に向けた具体的な策を出さなかったとして批判した。

民進党の立法院党団(国会議員団)副書記を務める洪申翰立法委員(国会議員)は21日に開いた記者会見で、中国の措置は選挙への介入手段だとし、両岸の経済貿易を人質として台湾の選挙に影響を与えようとしているとの見方を示した。

(頼于榛、劉冠廷、高華謙、王揚宇、李雅雯/編集:名切千絵)

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