ピアノの国際コンクール「インターナショナル・マエストロ・ピアノ・コンペティション」(国際大師鋼琴大賽)が来年1月、南部・高雄市で開催される。主催団体、マエストロアート(大師芸術)の創立者・芸術監督でピアニストの厳俊傑さんが12月3日、記者会見でコンクール開催への思いを語った。
「台湾はクラシック音楽の伝統がある国であることを、世界の人々に知ってほしい」という厳さん。「政治などの要因で世界に台湾を知ってもらえないのであれば、自身の音楽家としての力で世界の音楽界に知ってもらいたい」とし「台湾にはオリンピックのような世界レベルのピアノコンクールを開催する能力がある」と述べた。
コンクールは他の国際大会のレギュレーションに合わせ、出場者に1500米ドル(約23万円)の航空券補助を支給する他、大会期間中の宿泊施設を提供。演奏はライブ配信される。厳さんは、コンクールの経費は1000万台湾元(約4600万円)を超えると明かし「赤字は間違いない。それでも台湾で誰かがやらなくてはいけないと思う」と語った。
コンクールは2020年に続いて2回目の開催。事前審査を通過した32人が期間中、1次審査、2次審査、本選で演奏を披露する。本選には最大3人が進み、指定されたピアノ協奏曲から1曲を選んで高雄市交響楽団と演奏する。優勝者には1万米ドル(約150万円)の賞金が贈られる。出場者は台湾の他に韓国やロシア、米国などから集まる。日本から応募した池邊啓一郎さんも事前審査を通過した。
コンクールの後には、コンサートや公開レッスンを行うフェスティバルも開かれる。厳さんは「フェスティバルでは音楽界のレジェンドに台湾を知ってもらえる。さらに台湾の若者たちは、台湾にいながらにして真の音楽家に触れられる」とコメント。欧州や米国、アジアの名の知れた学校の教員たちを招くとし「もし留学するとしても、台湾の若者たちはここを起点として自分に合う先生を見つけられる」と話した。
コンクールは来年1月12日から16日まで、高雄市大東文化芸術センターで開催。フェスティバルは同16日から26日まで、同市の中山大学で行われる。コンクールの審査には、ショパン国際ピアノコンクールでも審査経験があるエバ・ポブウォツカさん(ポーランド)などが当たる。