◇主演女優賞は「百日草」のカリーナ・ラム
主演女優賞にはトム・リン(林書宇)監督の「百日草」に出演し、婚約相手を交通事故で失った女性を好演したカリーナ・ラム(林嘉欣)が選ばれた。カリーナの金馬奨受賞は2002年に香港映画「男人四十」で獲得した助演女優賞と新人賞に続き3度目。
同作の撮影開始前に父親が他界したことに触れた上で、天国でいつも見守ってくれ、死に向き合う勇気をくれたと感謝を示した。
主演男優賞を手にしたのは中国大陸の映画監督として知られるフォン・シャオガン(馮小剛)。出演作「老炮兒」での受賞となった。
「黒衣の刺客」に次ぐ受賞数となったチャン・ツォーチ(張作驥)監督の「酔・生夢死」。編集賞、助演女優賞、新人俳優賞、オリジナル映画音楽賞の4部門を制した。
今年7月に発表された台北映画賞(台北電影奨)では最高賞の作品賞など6冠を獲得していた同作。金馬奨でも強さを示した。
短編作品賞に選ばれたのはチェン・ウェイハオ(程偉豪)監督の「保全員之死」。1人の警備員の死をめぐってマスコミによって物語が作られていく模様をドキュメンタリー風に表現し、台湾メディアの現状を風刺した。同作は台北映画賞でも短編作品賞に輝いている。チェン監督は「台湾社会がこんなに良いテーマをくれた」と感謝した。また、11月27日公開の初長編監督作「紅衣小女孩」の宣伝をするちゃっかりした一面も見せた。
日本統治時代の台湾で生まれた日本人をテーマにしたヒット作「湾生回家」を下し、ドキュメンタリー作品賞を制したのはチョウ・ハオ(周浩)監督の「大同」。中国大陸・大同市の市長に随行して撮影を敢行し、都市計画の推進やそれをめぐる問題に迫った。チャオ・チー(趙[王奇])プロデューサーは、同作を通じて中国大陸の政策がどのように決まるか知ってほしいと語った。
「路辺野餐」で新人監督賞を獲得した中国大陸出身のビー・ガン(畢カン)監督は弱冠26歳。同作の製作中には資金が途切れ、一度は爆破の仕事をしようと考えていたという。また、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督が好きで、特に「憂鬱な楽園」(南国再見、南国)から大きな影響を受けたことも明かした。ビー監督の新たな企画案「地球最後的夜晚」も先日行われた金馬フィルム・プロジェクト・プロモーション(創投会議)でCNC現金賞を受賞した。(カン=章に夂の下に貢)