ツナは英語の「tuna(マグロ)」を日本語で発音しにくいのでこうなったのだ。「tour」も同じ理由で「ツアー」になったわけだが。
しかし,魚の「カジキ」は話が違う。台湾で「カジキ」は「旗魚(アモイ語ではキィヒィ、北京語ではチィユィ)」と呼ばれている。
カジキは日本人が「突きん棒」という漁法を導入する前に台湾の漁師が獲れない大きな魚だった。「突きん棒漁」で、銛(もり)を持った漁師がポンポン船の舳先にある銛台に立ち続け,カジキを見たら、船で追いつき銛を投げつけて獲る。銛にはロープがついており、漁師は魚が疲れるのを待ってロープを繰り、船のそばまで引き寄せる。台湾の北東部にある宜蘭県の蘇墺がカジキ漁の中心地だ。
烏賊は日本語でも中国語でも使われている漢字だが、台湾の人は烏賊に「小巻(アモイ語でショウクン)」という当て字をつけた。それに従い、台湾にいる外省人(終戦後、中国大陸から移り住んできた人々)も「小巻(北京語でシャウチュァン)」にしている。
台湾の日本料理屋でイカの刺身を注文する時、「ショウクンにしてくれ」と言ったほうがピンとくるかもしれない。