(台北中央社)陳世凱(ちんせいがい)交通部長(交通相)は12日、中央社の単独インタビューに応じ、台湾で横断歩道を渡る歩行者が車両と衝突して負傷・死亡する事故が相次いでいることについて「国恥」だとの認識を示し、車両が歩行者に道を譲らなかった場合の罰則を強化する方針を示した。
▽交通安全対策を強化へ
台湾では交通マナーの悪さが社会問題となっている。陳部長は、交差点の停止線と横断歩道の距離は原則1~3メートルとされているが、一部では30~50センチしかない場所もあると指摘。今後は2~3メートルに見直すとし、6月にも関連の法整備を終えると語った。
さらに交差点付近の照明を事故が起きにくい色に試験的に取り換えるとし、効果が実証されれば更新作業を迅速に進めるとした。また車両が歩行者に道を譲らず、負傷・死亡させた場合の罰則を強化するとし、今年中に関連作業に取り掛かるとした。車両の窓ガラスに可視光線透過率の低いフィルムを貼り付けることについても、今年5月から6月までにガイドラインを制定し、基準を設けるとした。
▽訪台外国人旅行者数 年間1000万人の目標を維持
台湾を訪問する外国人旅行者数の年間目標については、昨年と同様に1000万人とする方針を明らかにした。昨年は延べ785万7686人と目標に届かなかったが、陳部長は達成に努力すると意気込んだ。
またいかに旅行者により良い体験と消費活動をしてもらえるか、滞在日数を3日から5日、5日から7日にしてもらうにはどうするべきか検討する必要があると述べ、「観光の質は人数よりも重要だ」との認識を示した。
その上で、観光業者の協力だけでなく医療やデジタル産業などと連携した富裕層向けのラグジュアリーツーリズムを企画し、旅行者の消費意欲を高めたいと語った。
▽利用減少の高速バス「路線網の見直し必要」
国内の公共交通機関では、高速バスの利用が落ち込んでいる。2023年の利用者数は延べ5209万8966人で、新型コロナウイルス流行前と比べて36%減少した。陳部長は、約10年議論されていなかった高速バスの路線網を見直し、どのように他の交通機関と結びつけ、より効率的にするか考える必要があると語った。
今年の旧正月(1月29日)前に高速バスで台北から中部・台中に帰省したという陳部長。座席は快適で、深夜時間帯では乗り換えを含む高速鉄道の所要時間と変わらないと強調。高速バスは運賃が安く、短・中距離で競争力があるとし、自らの特性を生かすべきだとの認識を示した。