(台北中央社)出生時の性別と性自認が異なる「トランスジェンダー」で、生殖機能を失う性別適合手術を受けていないニモさんが19日、台北市信義区の戸政事務所(戸籍業務を担当する役所)で女性から男性への性別変更の申請を行い、受理された。ニモさんは中央社の取材に対し、人生の新たな章が始まったと喜びを語った。
ニモさんを支援していた台湾伴侶権益推進聯盟(TAPCPR)によると、ニモさんは幼い頃から自身の性別を男性だと自認し、男性ホルモンを投与していた。だが、かつて病気で手術した経験があり、別の手術をした場合は命に危険が及ぶ可能性があったため、性別適合手術が必要な性別変更の条件を満たしていなかったという。
ニモさんは2022年6月、信義区の戸政事務所で性別変更の申請が受理されなかったことから同年7月に提訴したものの棄却された。これを受け同年12月に行政訴訟を起こしたところ、台北高等行政法院(高等行政裁判所)は今年5月、ニモさんの性別の変更を認める判決を下した。
ニモさんは、本当の男性になれたとし「今後身分証を見られても気まずくならなくなる」と心境を吐露。「今の自分が最も好き」「これこそが自分が求めていたものだ」と語った。
TAPCPRの簡至潔秘書長は、ニモさんが長く苦しい日々を乗り越えて性別変更を実現できたことに触れた上で、政府に対し、同様の悩みを抱える人に性別変更のための訴訟を起こさせないよう訴えた。