東京で台湾の味を提供し続けた料理店、惜しまれつつも1月末で閉店へ

2022/01/19 17:50
台湾料理店「劉の店」店主の劉俊茂さん
台湾料理店「劉の店」店主の劉俊茂さん

(東京中央社)JR錦糸町駅南口にある人気の台湾料理店「劉の店」が、1月末で店じまいする。情報が広まり、食べ納めをしようと多くの来店客で連日行列ができるにぎわいになっている。

わずか20席ほどしかない小さな店だが、台湾を愛する多くの日本人や故郷の味を思う在日台湾人などに親しまれてきた。特にここ2年間は新型コロナウイルスの影響により、台湾の味を恋しく思う人たちが詰め掛けた。

揚げた豚のスペアリブ「排骨」(パイコー)が入った「台湾鉄道弁当」のほか、豚の角煮が乗った「扣肉飯」、「魯肉(ルーロー)飯」、「鶏肉飯」など台湾料理の数々が自慢だ。

そんな店を切り盛りするのは、南部・嘉義県生まれの劉俊茂さん(73)。小学校を卒業して南部・台南の工場で働いた後、16歳から台北のレストランで修業し、兵役終了後には観光ホテルで勤務した。

転機が訪れたのはその時。日本から旅行に来た日本人経営者と出会い、そのつてを頼って1972年9月20日に来日した。だが、そのわずか9日後、日本は中国との国交締結に伴い、中華民国(台湾)と断交。「まさに青天のへきれきだった」、「本当に傷ついた。日本に滞在し続けられるのか分からず、今後どうしたらいいのか、悩みが尽きなかった」と劉さんは涙ながらに振り返る。

店の前でポーズを取る劉さん
店の前でポーズを取る劉さん

それでも劉さんは来日後15年ほどしてから、西武池袋線の東長崎駅近くに初めて自分の店をオープン。2003年に劉の店を開き、本場の味を提供し続けてきた。

劉さんは「今では多くの日本人は台湾と聞けば、好意を抱いてくれている。地方に足を運べば、多くの人が台湾と聞いて、喜んでくれる」と語る。李登輝(りとうき)元総統が台湾の民主化を進め、台湾人が団結するにつれ、日本人は次第に台湾を知り、地震や災害が起きた時には、台日がお互いに助け合うことを分かってくれるようになったという。

「謝長廷(しゃちょうてい)駐日代表(大使に相当)が台日関係を『善の循環』というように、あなたが人にいいことをすれば、みんなもあなたに良くしてくれる」と劉さん。

店内には多くの写真が飾られている。蔡英文(さいえいぶん)総統や安倍晋三元首相とのツーショット写真のほか、超高層ビル台北101、桜のシーズンに撮影した錦帯橋(山口県)の風景写真もある。

食べ納めをしようと来店する在日台湾人らと
食べ納めをしようと来店する在日台湾人らと

閉店後は、しばらく休む予定だが。趣味の写真を集めた個展を開いたり、友人の勧めで別の飲食店の顧問になることも考えているという。名物の「排骨」の味は、名古屋で台湾料理店「驛(えき)の屋」を開く台湾出身の簡秀芬さんに伝授した。

料理の提供は30日まで。31日は店内で使った食器や調理器具、写真などをチャリティー販売する。売り上げは心臓病の子供を救う「明美ちゃん基金」に寄付される。

(楊明珠/編集:齊藤啓介)

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