(台北中央社)外交部(外務省)の2026年度予算書によると、中南米・カリブ海司(局)の「2国間・多国間協力強化」の予算は53億6700万6千台湾元(約259億4千万円)で、前年比では約23%増加する。同部の関係者は増額の主な要因について、インフレと中国の影響力を挙げている。
中華民国(台湾)と外交関係を有する12カ国のうち、7カ国が中南米に集中している。中国は近年、これらの国に対して経済的な利益を与える形で影響力を強めている。最近では23年に中米ホンジュラスが中華民国と断交し、その後中国と国交を樹立した。
26年の外交部全体の予算は、前年比より約109億元(約526億円)多い約415億元(約2004億円)となった。また、中南米・カリブ海司の2国間・多国間協力強化予算のうち、国交締結国のインフラ建設や技術者育成などの予算が約50億元(約242億円)を占めるほか、国交がない国への対外援助予算も約2億元(約10億円)増加した。
中南米事務に詳しい外交官は中央社に対し、同地域の国交締結国7カ国では、政府が台湾に強みがある産業の輸出を組み合わせ、これらの国の経済発展や産業転換を支援し、さらに台湾企業の世界展開を後押しする計画の推進を加速すると解説。計画の項目が多いため、予算を追加計上したと述べた。
中国の影響力への対応策として、中南米から招待する来賓の目標を26年は延べ330人(前年比156人増)に設定する予定だと説明。航空券価格の上昇なども影響し、予算が増額したと話した。
また、中国の認知戦に対して効果的に抵抗するため、各国の政府やシンクタンク、大学、メディア、非政府組織などと共同でイベントを開催したり、現地の重要な人物を会議やフォーラムに招待したりするための予算を約5385万元(約2億6000万円)増やしたと言及。台湾の政策や国家発展に関する正しい認識を深め、国際的影響力を高める狙いがあるとした。