(新北、台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統は22日、「国家の団結」を主軸に政府の立場を説明する講演活動を北部・新北市でスタートさせた。「全国民と手を取り合って努力し、団結を国家の最も堅実な防衛線にすることを望んでいる」と述べた。
講演は国際ロータリークラブの地区分会の例会で行われた。全10回を予定している講演活動の初回となったこの日は「国家」をテーマとし、歴史や国家の定義などについて説明した上で「中華人民共和国が台湾を統治したことはこれまで1日たりともない」と訴えた。
台湾が経済規模の大きさや民主主義、自由、さまざまな産業において世界で高い順位にあることに触れ、中国が台湾を併呑(へいどん)したがるのも無理はないと語った。
その上で、台湾が直面している外部の脅威を理解するよう呼びかけ、中国による脅威は文攻武嚇(言葉で攻撃、武力で威嚇)の他にも主に、国家主権に対する脅威▽国軍への浸透とスパイ活動の脅威▽国民の国に対するアイデンティティーを混乱させる脅威▽両岸(台湾と中国)交流を通じて台湾社会に統一工作の浸透を図る脅威▽融合や発展を名目に、台湾の企業や若者を引き寄せる脅威─の五つがあるとした。
講演の最後には、全国民との連携を望んでいるとした上で、主権を共に守り、国家をさらに強くし、台湾の民主主義を世界にアピールしたいとの考えを示した。
残り9回の講演ではそれぞれ「団結」「憲政体制」「国防」「外交」「両岸」「民主主義」「平和」「繁栄」「バランスの取れた台湾」をテーマにする。
▽二大野党は反発
講演を受け、最大野党・国民党と第2野党・民衆党は同日、反論を表明した。
国民党広報担当の楊智伃氏は、頼総統が民意に正面から耳を傾けずに与党・民進党の「台湾独立の宇宙」の中で生き、あらゆることを中国への対抗や台湾の保護に結び付けていると言及。政治的な憎悪をあおるだけだと非難した。
民衆党は、総統という立場の人間がこれほど中身のない講演を行うとは思いも寄らなかったと批判。空虚なスローガンを10回叫ぶくらいなら、中身のあることを真に行うほうがいいと主張した。