(台北中央社)自民党の高市早苗前経済安全保障相が28日、台北市内で記者会見を開き、日本と台湾の関係について「非政府間の実務関係であっても堂々と実務を強化すべき」との立場を示した。
高市氏は同党の黄川田仁志衆院議員、尾崎正直衆院議員、佐藤啓参院議員と共に27日から29日までの日程で台湾を訪問。28日午後には総統府で頼清徳(らいせいとく)総統と会談した。
総統府によれば、頼総統は会談で、中国の「レッドサプライチェーン」が日増しに拡張する中、台湾と日本が互いに重要な経済貿易パートナーとして半導体やエネルギー、AI(人工知能)などの分野で密接に協力し、民主主義陣営による「非レッドサプライチェーン」を共に構築していくことに期待を寄せた。また、環太平洋経済連携協定(TPP)への台湾の早期加入を望む姿勢を示した。
高市氏は会見で、頼総統との会談では日本と台湾間の安全保障、経済安全保障、民主主義の「三つのチェーン」の強化を確認したと紹介。防衛面での情報共有を進めることや民主主義陣営による「非レッドサプライチェーン」を半導体や先端技術製品で構築していくことで一致し、台日にとどまらず、フィリピン、オーストラリア、米国などとも連携し、台湾海峡の平和と安定を確保していく重要性を確認したと説明した。
技術革新分野では、台湾が強みを持つ半導体チップ、日本がリードする半導体製造装置や素材分野、AI、衛星分野などで日台の協力ができるとし、互いの「不可欠性」を確保するためにもこれらの分野での協力を進めていく重要性を頼氏に伝えたと述べた。
日本メディアから、将来もし日本の首相になった場合に台日関係をどのように発展させていこうか考えているか聞かれると、「仮定の話にはお答えしにくい」としつつ、「非政府間の実務関係であっても、堂々とその実務を強化すべきだと考えている」と述べ、現在でも人的交流や情報交換、技術協力を進めることはできるとした。一方、それらの協力が中国が台湾に武力行使する口実として利用されてはならないと強調した。また、「私たちは何よりも台湾海峡の平和を望んでいる」とし、困った時に助け合えるネットワークを、台日だけでなく友好国にも広げていきたいと語った。
高市氏によれば、今回の訪台では頼総統の他、蔡英文(さいえいぶん)前総統や林佳竜(りんかりゅう)外交部長(外相)、韓国瑜(かんこくゆ)立法院長(国会議長)、与野党の立法委員(国会議員)らと面会したという。
(名切千絵)