(高雄中央社)台湾国際造船(南部・高雄市)は25日、自社で開発製造した軍用無人水上艇(USV)の「エンデバー・マンタ」(奮進魔鬼魚)の発表会を高雄市内で行った。同社の黄正弘董事長(会長)は、三つの船体から成る「トリマラン」(3胴船)構造を採用し、台湾海峡の厳しい海洋条件にも耐えられると語った。
全長8.6メートル、幅3.7メートルの同水上艇は1トン以上の積載が可能で、速力は35ノット(時速約65キロ)以上。4Gや高周波無線、衛星通信といった複数の方式を切り替えて遠隔操作できる他、AI(人工知能)による目標識別や複数隻の一斉コントロール、ハイジャック対策などの機能を備える。船首には高威力な爆薬を、船体の両側には軽量の魚雷を搭載できる。
黄氏は、軍用無人艇の設計では機動性と海洋環境への耐久性の2点を重視する必要があるとし、このうちの機動性は迅速な配置に関わるため、船体は大きすぎてはいけないと説明。ウクライナ軍の無人艇が波が穏やかな黒海でロシアの軍艦を撃沈させたことに触れた上で、台湾海峡では強い風が吹くため、海洋環境への耐久性が重要になると解説した。
また水上艇の部品調達について、中国が絡む供給網「レッドサプライチェーン」を避け、中国製の製品を一切使用していないと強調。衛星通信システムや船外機を除き、基本的には全ての部品が台湾製だと述べた。
発表会の後には、高速での航行や素早い方向転換による攻撃回避能力、通信が外部から妨害されて途絶えた場合に自動で帰航する機能などが実演された。