南部・嘉義県の宗教施設「奉天宮」で鬼月が始まる前日の15日、鐘や太鼓を封じる「封鐘鼓」儀式が催された。知らない人たちが鐘を鳴らしたり太鼓を叩いたりして、あの世からやってきた霊たちを驚かさないための措置で、すでに数百年の歴史を持つという。
台湾では、旧暦7月は先祖の霊や「好兄弟」と呼ばれる無縁仏がこの世に戻ってくる「鬼月」に当たる。あの世につながる扉の鬼門が旧暦7月1日(今年は8月16日)に開き、その後、ごちそうで好兄弟をもてなす伝統行事の「普度」が各地で行われる。
奉天宮によれば、「封鐘鼓」の儀式を終えてから鬼月が終了するまでの1カ月、同宮は爆竹を鳴らさず、お経も唱えない。自動の鐘つきや太鼓叩き装置を取り入れる宗教施設が多い中、今でも古き良き伝統を重んじている。
奉天宮は清朝時代の1811年に建立され、航海の女神「媽祖」を祀っている。台湾でも名の知られた媽祖廟の一つで1985年に嘉義県指定の古跡に登録された。