(福岡中央社)昨年日本が条件付きで輸入を認めた台湾産の養殖魚「竜虎ハタ」が、西日本鉄道(西鉄)の観光列車や同社グループのスーパーマーケット、ホテル内のレストランで取り扱いが始まった。8日には福岡市内で記者会見が行われ、農業部(農業省)の黄昭欽(こうしょうきん)政務次長や、竜虎ハタの主要産地、南部・屏東県の周春米(しゅうしゅんまい)県長が来日して出席した。
竜虎ハタは交配種で、親系統に当たる魚が、海中の藻類が作り出す毒素が原因の食中毒「シガテラ」を引き起こすとされている関係で日本は輸入を認めていなかった。だが台湾側の働きかけにより、日本の厚生労働省が調査や研究を実施。養殖環境の管理を適切に行った場合の毒化リスクが低いことが分かったため、厚労省は昨年10月、適切な管理を行っている養殖施設の証明書類を添付することを条件に輸入を認めた。
黄氏は、竜虎ハタが台湾では賓客をもてなす時に出される高級魚だとした上で、肉質がきめ細かく食感に優れ、国内外の市場で注目を集めていると説明。日本の消費者に味わってもらうため、農業部と業界、学界が長年努力し、輸入解禁にこぎつけたと語った。
記者会見の後、黄氏らは観光列車「ザ・レールキッチン・チクゴ」に乗り込み、提携シェフが監修した料理を試食した。その後はスーパー「レガネット柳川店」(福岡県柳川市)を訪問し、竜虎ハタを使った弁当や切り身の販売の様子を視察した。周氏は女性客に「竜虎ハタを食べれば私のように肌がきれいになる」とPR。黄氏も別の客に「竜虎ハタの皮にはコラーゲンが豊富に含まれている」と語りかけていた。
西鉄によれば、列車内で提供されているのは「台湾竜虎ハタと春野菜のパイ 柑橘のソース」、スーパーで販売される弁当は「台湾竜虎ハタの野菜あんかけ弁当」だという。