(台北中央社)台湾鉄路(台鉄)は今年、約120億台湾元(約580億円)の赤字となる見通しであることが分かった。赤字額は昨年より約6億元(約29億円)の増加となる。一方で、人気の高い弁当の売り上げは新型コロナウイルス流行前の2019年に記録した約7億4800万元(約35億9千万円)を超え、過去最高を更新する見込みだ。
台鉄は今年1月に国営企業化した。それ以前の短期借入金は1700億元(約8200億円)に達し、政府系減債基金が処理に当たっていた他、政府から補助金も交付されていた。企業化で安全管理の強化や柔軟な経営による増収が期待されていたが、結果的に赤字が膨らんだ。
台鉄の杜微(とび)董事長(会長)は中央社の取材に、福利厚生費の増加や資産譲渡、老朽化した車両の解体などで支出が増えたと指摘する。また一部の土地の賃貸収入が減債基金に移行されたことで台鉄の収入が相対的に減少。運賃の値上げが約30年間凍結されていることも重なり、財源不足が拡大したと説明した。
26年には純現金収支がプラスに転じる見込みだとしながらも、会計上の利益が出るのは台鉄が携わる大型開発プロジェクトの完成で賃貸収入が増えるのを待つ必要があるとし、早くとも27年になると語った。
弁当については、台北駅に新設するセントラルキッチンを26年5月に運用させる計画で、生産量の向上を図り、より多くの特色ある商品の開発を行うとした。
現時点で弁当や関連グッズの販売、不動産開発による売り上げは営業収入全体の2割にも達していないが、台鉄は33年には4割へ引き上げる目標を掲げている。