台湾の音楽の祭典「2018ゴールデン・メロディー・アワード(金曲奨)授賞式」が6月23日、台北市の台北アリーナで開催された。アルバム884枚、計1万9539作品の応募があった今年の金曲奨。その中からノミネートされた152作品が27の賞を争った。最多ノミネートはアーメイ(張恵妹)「偷故事的人」とリン・ジュンジエ(林俊傑、JJ)「偉大的渺小」の各6部門。アーメイとJJはいずれも中国語歌手賞候補に選ばれており、受賞の行方に注目が集まった。
▽最優秀中国語男女歌手はイーソン・チャンとララ・スー
中国語女性歌手賞を手にしたのは、シンガーソングライターのララ・スー(徐佳瑩)。アーメイやジュリア・パン(彭佳慧)ら受賞経験がある強豪を退けての初受賞となった。名前が呼ばれた瞬間、大きな口を開けて信じられないといった表情を浮かべたララ。彼氏でララの楽曲のMVなども手掛ける映像監督のビル・チア(比爾賈)とキスを交わすと、会場からは大きな歓声が上がった。
ララは昨年12月に前作以来3年ぶりにリリースした5枚目のオリジナルアルバム「心裡学」で中国語アルバム賞もダブル受賞した。
▽クラウド・ルーがドラマ主題歌「魚仔」で年間楽曲賞&作曲家賞
▽新人エッグ・プラント・エッグが台湾語アルバム賞制す
エッグは、ボーカル兼キーボードの阿斌、ギターの阿徳と阿任、ドラムの小頼からなるグループ。2012年に結成された。
同時に台湾語アルバム賞も獲得。金曲奨常連のリッキー・シャオ(蕭煌奇)や大御所のチェン・ミンジャン(陳明章)らを退けての受賞となった。舞台裏のプレスルームでは、台湾語男性歌手を受賞したリッキーから握手で祝福されるる場面も。リッキーは、エッグのアルバムについて「好き」と話し、「新しい人たちの時代。新しいものが入ってくるのは台湾の音楽にとって良いことであるし、新しいバンドとして台湾語の楽曲のために頑張ってほしい」とエールを送っていた。
▽宮古島出身の歌手・Hiraraさんが参加した作品が先住民語アルバム賞に
授賞式に出席したHiraraさんによれば、沖縄が大好きだというCMO楽団のリーダーの蘇瓦那さんから「沖縄の音楽とコラボしたい」という話が持ち掛けられたのが共同制作のきっかけ。「お母さんにまつわる宮古島の曲を探してほしい」と依頼され、宮古島の古謡を時間をかけて探したという。この古謡を原曲に、CMO楽団が編曲し、宮古島の言葉とアミ語で歌う「Anna ina」が生まれた。Annaとinaはそれぞれ宮古島の言葉とアミ語でそれぞれ「母」を表す。
「良いコラボができたと思う」と自信をみせるHiraraさん。「台湾も大好きなので、いろいろな方とコラボしていきたい」と意欲をのぞかせた。
▽最多受賞はジャズアルバム「happened, happening」の3部門
最多ノミネートのアーメイは、ミュージックビデオ賞の1部門を受賞したのみ。JJは全滅に終わったが、授賞式ではパフォーマンスのトリを務め、大きな存在感を示した。
▽初司会のジャム・シャオ、多彩なエンターテイナーぶり発揮
プレゼンターでその才能を強く印象づけたのは、休止中のバンド、ソーダグリーン(蘇打緑)のボーカルで、今年ソロ活動を始動させたチンフォン(青峰)。年間楽曲賞のプレゼンターを担当したチンフォンが、ノミネート曲5曲をメドレーにしてアカペラでなめらかに歌い上げると、会場からは大きな歓声が上がった。
(名切千絵)