(台北中央社)日本人女性が台湾旅行中に紛失してしまったポーチが、7年越しに家族の元に戻った。女性の父親が日本統治時代の台北で刺しゅうを施した、歴史と思いが詰まったポーチだった。返却に尽力した台北城市科技大学(台北市)が7日、報道資料で明らかにした。
同大によれば、女性は2018年にイベント参加のために台湾を訪問。その際、ポーチや書類が入ったかばんをタクシーの中に忘れてしまった。女性は2年ほど探したものの見つからず、諦めていたという。
ところが20年に奇跡が起きた。同大応用外国語学科の陳乃慈助理教授(助教)に警察から一本の電話が入った。落とし主が現れない遺失物のかばんの中に、女性と陳さんの名刺が入っていたとのことだった。陳さんは女性と同じイベントに参加し、名刺を交換していた。陳さんは女性に連絡を取った上でかばんを代理で受け取り、大学で保管した。
女性や家族はかばんを受け取りに同大に行くことを望んでいたものの、新型コロナウイルスの流行に加えて女性が高齢なこともあり、実現していなかった。今月、女性の妹が同大を訪問し、かばんやポーチを受け取ることができた。
妹は、ポーチの刺しゅうは父親が入院していた際に他の患者と共に入れたもので、家族にとっては父親の思い出というだけでなく、台湾の思い出が詰まっていると説明。台湾への感謝の象徴として、かばんに入っていたスカーフは学科に贈った。