(台北中央社)台湾電力(台電)第3原子力発電所(南部・屏東県)の再稼働の賛否を問う国民投票が23日に実施されるのを前に、1回目の発表会が7日、開かれた。賛成・反対両派の代表者が出席し、意見をぶつけ合った。
第3原発は今年5月、唯一稼働していた2号機が運転期間を終えて停止した。台湾はこれにより、「原発ゼロ」となった。国民投票の実施案は野党・民衆党から提出された。主文は「第3原発が主務機関の同意を経て、安全性への懸念がないと確認された後に運転を継続することに同意するか」。
賛成派の代表として出席した清華大学原子科学院院長(学部長)の葉宗洸教授は、発電コストや台湾のエネルギー資源の輸入依存度の高さなどを挙げ、再稼働の必要性を主張。中国の脅威を念頭に、全発電量に占める第3原発の割合が約5~6%に過ぎないとしても、海岸線が封鎖されて天然ガスの輸入ができなくなった場合に、原発は軍事指揮機構や政府、行政、病院など最も基礎的な電力需要を満たすことが可能だと訴えた。
また「原発は40年の寿命で設計されている」との意見に対し、この年数は米国が反トラスト法(独占禁止法)の懸念に対処するために設定したものだとし、技術面を考慮したものではないと反論。現在、米国ではすでに多くの原発が運転期間を延長しており、全面的な刷新ではなく、部品の修理のみで対応していると説明した。
反対派の代表を務めた台湾電力の曽文生董事長(会長)は、主文で注目すべきは「安全性への懸念がないと確認」という部分だと指摘。運転延長または再稼働の可否を判断するには科学的な手続きや設計の調整が必要だとし、「投票で簡単に決められるものではない」と訴えた。安全性の検査や設備の刷新、発電ユニットの補強工事を行う前に判断を下すのはタイミングとして不適切だと述べた。
この他、高レベル放射性廃棄物の処分地の問題にも触れ、同社は積極的に候補地を探していると説明。賛成派が原発再稼働あるいは運転継続を、多額の費用がかからない容易なことのように言っているのは、同社にとっては不公平だと不満を示した。
意見発表会は計5回開催される予定で、2回目は9日に開かれる。