(台南中央社)最大野党・国民党の傅崐萁(ふこんき)立法委員(国会議員)が、中華民国と外国の国籍を有する重国籍者が公職に就任する場合、他国の国籍を放棄する手続きを行わなければならないなどと定める国籍法について、中国出身者を適用外とするよう法改正を訴えている。頼清徳(らいせいとく)総統は28日、法改正をして中華民国のみへの忠誠を特別に免除する必要はないとの認識を示した。
台湾では今年8月、中国・四川出身で台湾人の配偶者として台湾に居住していた東部・花蓮県富里郷学田村の村長が、中華人民共和国の国籍を保持していたとして、国籍法違反で解職された。
これに対し傅氏らは、台湾と大陸地区の人民の権利や義務について、特別法で規定することが憲法に明記されており、この特別法に当たる「台湾地区・大陸地区人民関係条例(両岸条例)」には、中国出身者の戸籍や身分、就業、公職選挙への立候補、就任資格に関して全て包括的な規定が設けられていると主張。法改正を通じ、台湾人の中国人配偶者の参政権を保障し、国籍問題で公職を解かれることを防ぐとしている。
傅氏は、合法的に台湾の戸籍を取得した中国出身者の公職選挙への立候補資格は、両岸条例の規定に基づくべきで、国籍法が定める他の国籍の放棄を求める条文は適用すべきではないと訴えている。
この日、南部・台南市内で報道陣の取材に応じた頼総統は、法改正が実現した場合、中国出身者に対する疑念を深めるだけで、台湾社会の調和にはつながらないと述べた。
また台湾は民主主義国家かつ法治社会であり、外国人配偶者や移民などの「新住民」と呼ばれる全ての人は台湾の法律によって守られると説明。法律違反や国家に損害を与える行為があれば、法に基づいて対処すると語った。
その上で、台湾の民主主義には多様性があり、自由で開かれているとし、エスニックグループや出身地にかかわらず、台湾を認める人は皆、この国家のあるじだと強調。数十万人の新住民が家庭や職場、社会に貢献していることを総統として感謝するとし、多くの国民も台湾を愛する新住民を歓迎していると述べた。