(台北中央社)教育部(教育省)が公立学校に教職員が中国大陸の戸籍や身分証などを有していないかを調べるよう求めていることに、一部の教員から不満の声が上がっている。台湾で対中政策を担当する大陸委員会は4日、「法に基づいた行政事務だ」と強調した。
ユーチューバーが動画で中国大陸の身分証を所持している台湾人について暴露したのをきっかけに、法務部(法務省)調査局と内政部(内務省)移民署が調査を開始。これまでに少なくとも10人の台湾戸籍が抹消された。先月上旬には、海軍兵士が中国大陸の身分証を所持していることも発覚した。
台湾では中国大陸との人的往来について定めた台湾地区・大陸地区人民関係条例で、国民に対して中国大陸に戸籍を置いたり、中国大陸の旅券(パスポート)を所持したりすることを禁じており、違反者は台湾の身分を失う。台湾の身分を失った人は公立教育機関や公営事業機関に勤務することができない。
公務員の人事制度に携わる銓敘部や行政院(内閣)人事行政総処は公務員の中国大陸身分証所持状況について調査を進めており、教育部も公立学校各校に対し、中国大陸の戸籍や身分証などを有していないことを証明する誓約書を教職員に書かせるよう求めた。
台北市内の公立小学校に勤務する教師は4日、中央社に対し、教育部の要求に反感を示した。全ての教職員が疑いの対象となっていると感じ、尊重されていない感覚を覚えたと話し、紙一枚をよこしただけで、それに従わせようとするやり方は粗暴だと批判した。
新北市内の公立小学校に在籍する教師は、同様の調査は軍事や国防関係の機関で行われるなら納得がいくものの、学校で教員に対して調査するとは思いも寄らなかったと語った。誓約書の要求については、従いたくなくても従わざるを得ないようだと不満を漏らした。
大陸委は4日、書面を通じ、現職教職員に政府が周知と調査を実施するのは法に基づく行政事務だとし、各学校は教職員が現行の法令に合致するか確認しなければならないと説明。誓約書はあくまでも方法の一つであり、より効率的な方法が他にあれば提案を歓迎すると各学校に呼びかけた。