(台中中央社)台湾高速鉄道(高鉄)の客車内部を再現した撮影用セットが14日、中部・台中市の撮影所「中台湾影視基地」で報道陣に公開された。台湾映画「96分鐘」(96 Minutes)の撮影のために設置されたもので、高鉄の客車内部を模したセットが作られるのは台湾で初めて。
同作は、台北から南部・高雄に向かう高鉄の車内で起こる事件を描くアクション映画。新鋭監督のホン・ズーシュエン(洪子烜)がメガホンを取り、リン・ボーホン(林柏宏)やワン・ボージエ(王柏傑)らが出演する。2025年公開予定。撮影は4月に開始され、5月にクランクアップした。
ジェフ・ツォウ(鄒介中)エグゼクティブプロデューサーによれば、客車内部のセットの建設には約2000万台湾元(約9100万円)が投じられた。高鉄の車両は日本から来ているため、セットの建設に当たっては部品の多くを日本から輸入した。美術スタッフは1年近い時間をかけて撮影準備を行ったという。
台中市政府によれば、スタジオでは実際に建設した高鉄車両内部のセットに、CG(コンピューターグラフィックス)で生み出したバーチャル背景を組み合わせて撮影が行われた。
記者会見に出席した李遠(りえん)文化部長(文化相)は、台湾のどの撮影所がバーチャルスタジオを必要としているかを把握していくとし、文化部として、資源を映画の撮影だけでなく、撮影所や技術部門の強化にも投下していきたい考えを示した。
李氏によれば、同作には台湾のコンテンツの発展を支援する「台湾クリエイティブ・コンテンツ・エイジェンシー」(文化内容策進院、文策院)が出資した他、文化部(文化省)が補助金を交付。台中市など各地方政府も製作に協力した。資金は1億元(約4億5500万円)を超える。
ツォウ氏は、文化部からは今回建設したセットを残し、他の作品の撮影にも使えるようにすることに関心が寄せられたと明かした。撮影中にはシンガポールや香港の映像製作関係者も見学に訪れたとし、今後もセットが残され、現地の観光産業の発展を後押しできるよう期待を寄せた。