(香川中央社)瀬戸内海の島々などを舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が18日、開幕した。香川県小豆島で展示されている台湾の芸術家、ワン・ウェンチー(王文志)さんの作品が大きな注目を浴びている。
3年に1度開かれる同芸術祭。6回目を迎えた今回は37の国・地域から256作品が出展された。
ワンさんの「抱擁・小豆島」は4000本の竹を使ったドーム状の作品。同芸術祭常連のワンさんは、小豆島は自身にとって心の中の「第二の故郷」だと語る。ワンさんの台湾のチームや国際ボランティア、現地住民、芸術祭ボランティアサポーターらが協力して作り上げた。ワンさんは、同作はこれまで出展してきた中で、最も挑戦的で革新的な精神を持った作品だと紹介する。竹編みや島々の自然との共生といったコンセプトを引き継ぎつつ、過去最長の回廊構造を取り入れるなど、新たな要素に挑戦した。
「抱擁」は一種の温もりであり、声のない対話だとワンさん。来場者にはこの竹編みの作品を通じ、絡み合う竹片を触ったり、隙間から差し込む太陽の光、そよ風を受けたりして、光と影が移ろいゆく中でこの土地の呼吸を感じてほしいと話した。
18日の開幕式後に中央社の取材に応じた池田豊人香川県知事は、2010年の第1回開催から同芸術祭に参加しているワンさんの作品は、毎回の最大の目玉になっていると紹介。現在、中部・台中市と高松市を結ぶ直行便が運航されていることに触れ、台湾の人々の来訪を呼びかけた。
同芸術祭で総合ディレクターを務める北川フラムさんは17日、小豆島でワンさんの作品を解説した際、芸術祭を象徴する作品だと紹介した。
ワンさんの出展を支援した台北駐日経済文化代表処台湾文化センターは、今後もさまざまな革新的な形で台湾の芸術を世界に伝え、国際社会における台湾の芸術家の存在感を向上させていくとした。