(台北中央社)広島市で8月に開かれたひろしま国際指揮者コンクールで、台湾の鄒佳宏(すうかこう)さんが3位に輝いた。母子家庭で育ったという鄒さんは2日に中央社の取材に応じ、仕事と学業の二足のわらじだった学生時代などの経済的な苦境を乗り越えて、今は音楽を仕事にして生活できていると語った。
日本国内外の若手指揮者を対象とした同コンクールは、今年で2回目。鄒さんは2022年の第1回大会にも参加したが、予選で敗退した。今回は1次、2次予選を勝ち抜いて本選に進出した。指揮者のクリスティアン・アルミンクさんや沼尻竜典さんら5人が審査に当たった。
中学校で吹奏楽部に入部してトランペットを始めたのが音楽の道を志すきっかけとなったという鄒さん。高校の音楽科に入るのは経済的事情で諦めたものの、大学は音楽学科に進んだ。自ら学費を稼ぎながらトランペットを専攻したが、指揮が好きだという気持ちは常に心にあり、兵役を終えた後に大学院で指揮の勉強を始めた。
今年は台湾フィルハーモニック(国家交響楽団、NSO)の2024~25年シーズンの指揮者のアシスタントに選ばれた。スコアをじっくりと読み込み、自身が分析して探り出した音楽を、型にはまらずに試してみたいとし、「これは指揮者としてのチャレンジであり、常に努力したい目標でもある」と話した。