(台北中央社)頼清徳(らいせいとく)総統が30日から中華民国(台湾)と外交関係を有する太平洋3カ国を訪問するのを前に、ロイター通信は27日、中国が外遊を口実にして台湾周辺で軍事演習を行う可能性が高いと報道した。これに関連して林佳竜(りんかりゅう)外交部長(外相)は28日、中国に対して台湾海峡の平和と安定を破壊する度を越した行為を行わないよう呼びかけた。
この日行われた立法院(国会)外交・国防委員会では、複数の立法委員(国会議員)が、頼氏の外遊に際して中国が軍事演習を行う可能性への懸念を示した。与党・民進党の王定宇立法委員が外交部(外務省)の立場や見解を質問した。
林氏は、安全保障政策に関する総統諮問機関の国家安全会議や関係省庁が情勢を分析し、必要な準備や対応を行っていると説明。過去数回の総統外遊時には中国はいずれも小さな嫌がらせを見せているとし、今回の外遊時に中国が軍事演習を行うことや、演習を戦争に発展させる可能性を排除しないと述べた。
また総統の外遊は長年の慣例だとした上で、中国に現状破壊行為を行わないよう呼びかけた。中国の脅威は常に存在し、その圧力は強まって常態化していると述べ、これも中国の認知戦の一部だと言及した。
頼氏が外国を訪問するのは、今年5月の総統就任後初めて。太平洋のパラオ、ツバル、マーシャル諸島を訪問し、来月6日に台湾に戻る予定。