(高雄中央社)特定の政治的立場を主張する民間団体のメンバーが今年、中国当局が費用を負担する中国ツアーの実施に関与したことを巡り、南部・高雄市の台湾橋頭地方検察署(地検)は28日、これまでに22人の取り調べを行ったと発表した。参加者には現職の里長(町内会長に相当)も含まれた他、現地では当局関係者が参加者に対し、台湾の総統選で特定の候補者を支持するよう呼びかけたとみられている。
同地検によれば、最大野党・国民党寄りの民間団体「中華泛藍協会」(高雄市)の会員の男性は今年に入ってから、中国で対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室(国台弁)などと断続的に連絡を取った。男性が率いるツアーの参加者は今年5月から10月にかけ、複数組に分かれて山西や内モンゴルなど中国各地を訪問。宿泊や飲食などの費用は全て国台弁などが負担したという。130人以上が参加した。
また旅行中には各自治体の台湾事務弁公室や中国共産党の統一戦線工作部の関係者がツアーの参加者らに対し、対中融和路線の陣営支持や与党・民進党の批判、台湾独立反対などの言論を吹聴したという。さらに台湾事務弁公室の職員は参加者に政治的傾向を尋ねた他、宴会で来年1月に行われる総統選について言及し、国民党と野党第2党・民衆党による共闘や特定の候補者の支持を求めたとしている。
取り調べを受けた22人のうち、男性を含め2人が海外の敵対勢力の干渉を防ぐ「反浸透法」や総統副総統選挙罷免法、公職人員選挙罷免法などに違反した疑いが強いとされた。同地検は勾留の必要はないとして、2人をそれぞれ保釈金15万台湾元(約71万円)、5万元(約24万円)で保釈し、出国禁止を命じた。